☆NY通信 ”Prisoner Swap”

NY 通信、最新号が届きました。

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各位、
アメリカではDry Januaryと称して1月にお酒を控える人がたくさんいます。確かに年末、年始に飲みすぎた体のためにはいいでしょうね。私も少し見習って、お酒を控えめにしようと思います。本当です。
「米語Watch」をお送りします。今年も読んでいただいて嬉しく思います。いつでも、楽しいメッセージをお寄せください。

-米語Watch(朝日Weeklyおよび週刊NY生活紙に連載中)-
Prisoner Swap 囚人交換
Prisoner Swapという言葉が、昨年12月のニュース面を賑わせました。Prisonerは囚人、Swapは交換すること。ロシアへの空路入国時に少量の大麻を所有しているのが見つかり、9年の禁固刑を言い渡されたアメリカ女子バスケットボール・スター Griner選手が、二国間交渉の後、囚人交換という形で帰国しました。ロシアが求めた交換の相手は、殺人などの容疑で、米国の刑務所で25年の刑に服していた武器商人Bout氏でした。

今回のようなPrisoner Swapは、戦争捕虜(Prisoner of War略してPOW)の交換とは、性格が異なります。(ロシアとウクライナの間でもPOWの交換をしている。)戦争に関係のない民間人の囚人同士を交換するのは、超法規的な特別措置で、日本がこの種のPrisoner Swapをした事例は聞いたことがありません。

 囚人交換で自国民を取り戻すという手法については、アメリカでも議論があります。 懸念されるのは、罪のないアメリカ人が交渉材料(Bargaining Chip)として外国に拘束される可能性です。現実に非友好国が、40人以上の米国人をHostage-taking(人質として拘束)していると言われ、中国、ロシア、シリア、イラン、ベネズエラなどが名指しされています。

 バイデン政権は今回の囚人交換で、Grinerさんと共に、反スパイ法違反としてロシアに収監されている元海兵隊でビジネスマンのPaul Whelan氏の解放も強く求めました。しかし、ロシアはそれを認めず、アメリカ国民の怒り・失望が広がっています。Prisoner Swapは、2023年も米外交の大きな焦点の一つとなるでしょう。

(旦 英夫 ニューヨーク州弁護士)