☆Happy New Year! NY通信

新年あけましておめでとうございます! 今年もどうぞよろしくお願いいたします!

NY通信、最新号をお届けします。

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BEIGO Watch : New Year Special 2024    米語 Watch : New Year Special 2024  皆さま、新年おめでとうございます。  週刊NY生活紙に掲載した「米語Watchで振り返る2023年」をお送りします。  このコラムを書き始めて約10年になります。新聞・雑誌に掲載すると同時に、配信システムを使って多くの友人にコラムをお送りできる事はとても嬉しいことです。年月の経過とともに、人間関係が狭まることが多い中、このコラムを書くことによって、古い友人そして新しい知り合いと交流が続くことは私の人生の喜びの一つです。  このコラムがいつまで続くかは分かりませんが、お会いした読者一人一人とのお付き合いと思い出を心の糧として、もうしばらく書き続けようと思います。良い年をお迎えください。  楽しいメッセージをお寄せください。お待ちしています。 旦 英夫

米語Watchで振り返る2023年    新年を迎え、コラム「米語Watch」で言及した言葉(太字で示す)で2023年を振り返ります。  昨年、Generative AI(生成AI)が社会に衝撃を与えたと言っても過言ではないでしょう。今や世界で数億人が利用するというChatGPT は、人の指示(Prompt)に対応し、Deep Learning(深層学習)という自己学習能力で、瞬時に文章や画像を 作ることができます。これは人々の仕事、研究、創作全ての分野に大きな変革をもたらしています。これまで多大な時間を要していた作業がGenerative AIによって効率化される一方、仕事を失う人々が急増しています。そして、学校では、生徒にこの新技術をどのように利用させるのかについて、対応に追われてます。ChatGPT が代表するGenerative AIは、人間の文化だけではなく、戦争の仕方までを変える可能性を秘めた発明です。将来、歴史は2023年を特別な年として振り返るかもしれません。  この一年、アメリカのGDPと株価の上昇を見れば、経済は好調を維持したように見えます。しかし、個人レベルとりわけ若い世代では生活は苦しくなったと言われます。それを象徴する言葉の一つがHouse Poor です。これは 家にお金がかかりすぎ(家計における住宅関連の費用が約30%を超える状況)、家計を圧迫することを意味します。30年物の住宅ローン金利は7%を超えました。ニューヨーク近辺では不動産税を含め、家のメンテナンス費用は上がる一方です。アパートを借りるとしても家賃の高騰は想像を絶します。  そして、マンハッタンにおけるレストランのメニュー価格も上がりました。加えてGuilt Tipping 「義理」チップ です。従来は15%くらいを感謝の気持ちで払っていたのですが、パンデミックの状況で、エッセンシャル・ワーカーには多めに払わなければという義務的な意識が広がり、20%以上を払うことが普通になりました。高いチップに誘導する支払いスクリーンの広がりもあって、この動きは止まりそうにありません。日本から来る出張者がマンハッタンの簡単なランチに税金とチップを足して30ドル(約4500円)だったとショックを受けていました。(晩秋に日本へ行って、美味しい博多ラーメンを800円で楽しんできたばかりです。)  国民の経済的窮状を救うべく、バイデン政権はStudent Loan Forgiveness(学生ローン返済免除)に取り組んでいます。しかし、政権が推し進めた最大2万ドルまでの免除案は、最高裁が議会の承認が必要として、無効にされました。学生ローンの免除・猶予は、共和党が反対する中、新年に持ち越されて大統領選の争点に浮上してきました。  パンデミックは収束してきましたが、アメリカの職場ではハイブリッド勤務が普通になり、Hot-deskingが広がってきました。Hot-desking とは職場に着いてから、空いている席を選ぶシステムです。業務上、チームがそばに座ることが必要な場合は、Office Hotelingというアプリを使い席の予約をします。 Hot-deskingにせよ、Office Hotelingにせよ、会社にとってはスペース費用の節約につながりますが、オフィス賃貸業にとっては、大きな打撃になります。パンデミックは現在そして将来の働き方に大きな影響を与えました。  Menty Bという精神的不調を意味するフレーズが流行りました。パンデミックは全ての人に辛い思いをさせましたが、 特に仲間と過ごす時間が奪われた若者たちの中に、Menty B に陥る人が増えました。 実際、SNSによって繋がっているようでも、画面上の交信だけでは、往々にして自分が取り残される不安を若者に与えるとの指摘があります。もちろん、人間関係だけではなく、身の回りで増加する犯罪、政治的に分断する社会、さらには不穏な世界情勢など全てが、人々の心を悩ませているのです。   その他、昨年取り上げた言葉には社会の変化を映す言葉がたくさんありました。Sober Curious(お酒を控えめにしようかな)という、飲酒を控えて体、頭、そして人間関係を見直そうとする動きです。お酒の力を借りず楽しく過ごし、減酒して体を強く、頭をシャープにしようと考える人々が増えつつあるようです。このような背景のもと、Non-Alcoholic Beverage(ノンアル飲み物)の消費量が大きく増えています。マンハッタンのおしゃれなバーで、Non-Alcoholic Beverageがカクテルグラスに美しく輝いていました。  Girl Dinner( ガール・ディナー)という言葉を若い女性たちから聞きました。Girl Dinnerと言うのはTikTokで大流行している言葉で、女性が自分のために一人で楽しく作る食事のことです。きれいなお皿の上に、オリーブ、チーズ、野菜、加工肉、果物等を並べて、ワインを片手に楽しむのです。アメリカでも、食事作りを男に押し付けられる義務と感じて、多くの女性が反発しているのだそうです。男性は反省が必要かも知れません。  昨年もトランプ氏に関するニュースが続きました。トランプ氏は民事事件に加え、3年前の大統領選でバイデン氏当選を阻止しようとした国家に対する違法行為で、検察にIndict(刑事訴追)されました。加えて、ジョージア州でもトランプ氏は選挙結果を違法に覆そうとしたとして起訴されました。トランプ氏は大量のClassifed Documents(機密書類)を、フロリダの私邸(マール・ア・ラーゴ)に隠匿した罪でも訴追されています。同氏はそれらの容疑を否認するだけでなく、検察官や裁判所関係者をも脅かす発言を繰り返しています。この事態に、検察はトランプ氏の不適切な発言を禁じる箝口令(Gag Order)を求めましたが、その範囲と強制方法に関して、弁護側との法廷闘争が続いています。  新年、秋には大統領選があります。高齢が心配されている民主党のバイデン大統領そして、刑事事件で追及されている共和党トランプ元大統領。この二人が両党の代表として本戦に残るのか。そうなれば、どちらが勝つのか。 世界情勢が混迷を深める中、誰がアメリカをそして民主主義を引っ張っていくことになるのでしょう・・・年明けから、苛烈な争いが繰り広げられることは間違いありません。心配はつきませんが、皆さんにとって2024年が友人との触れ合いが増える楽しい年になりますように。 週刊NY生活 記事   (旦 英夫 ニューヨーク州弁護士 )